第一生命マンスリーレポート ~2025年8月のマーケットの振り返り~
日経平均株価最高値更新
8月はTOPIXや日経平均株価が史上最高値を更新するなど国内株式市場の好調さが目立ちました。
8月前半の日経平均の急騰は、一部のAI 関連株や防衛関連株、エンタメ関連株などの上昇が大きく寄与しました。従来は海外時間帯(前日の日本市場終了後→翌日の日本市場オープンまで)に株高が進む傾向があったのに対し、直近は日中時間帯(始値→終値)での株高が寄与しています。これはNISA人気銘柄の堅調さに加え、株高でも国内株式投信からの純流出がさほど見られないといった国内勢の売り圧力低下が一因と考えられます。
また、上図の通り、外国人投資家の日本株買い越し額はこの1年売り越しになっているものの、徐々にフラットな水準まで回復しつつあります。加えて、日本株の買い手として突出するのは自社株買いですが、TOBを通じた買い越しも無視できない規模になりつつあることから、今後もNISA等を活用した個人投資家の投資行動に加え、日本企業による自社株買いやTOBなどの企業行動が日本の株式市場の下支えとなるでしょう。
【国内株式】
~米国株高と為替安定を背景に堅調展開も、月末にかけて足踏み~
2025年8月、日経平均株価は総じて堅調に推移しました。
月初は米国株式の上昇や為替の落ち着きなどを受け、投資家心理は良好でした。ただし、8月中旬以降は日本の利上げ期待とのせめぎ合いでやや伸び悩み、月末にかけては利益確定売りにも押される展開になりました。結果として、月初での株高からは調整が入りつつも、全体では安定した推移となりました。
【米国株式】
~雇用統計で一時下落も、利下げ期待と強い業績を背景に堅調展開~
2025年8月、米国株式は全体として底堅く推移しました。
8月1日発表の雇用統計の中で非農業部門雇用者数は市場予想を大きく下回る結果となり、労働市場への懸念から株価は下落しました。しかし企業業績が好調であることや9月利下げ期待が高まったことから、株価は下げを取り戻し、上昇しました。
【為替】
~ドル円は147円台で推移、落ち着いた展開~
2025年8月のドル円相場は、全般的に147円台を中心とした落ち着いた値動きとなりました。特に日米関税交渉の進展などがドル円相場を下支えする一方で、米国では9月以降の利下げ観測が強まり、ドルの上値を抑える要因となりました。一方で日本銀行の追加利上げ時期に関する思惑もあり、雇用統計やFOMC、日銀金融政策決定会合等のイベント待ちという姿勢も見られました。
【日本金利】
~上昇トレンドが見られるものの、外部リスクへの警戒から慎重姿勢~
2025年8月、日本の10年国債利回りはおおむね1.5%から1.6%の範囲で推移しました。
持続的なインフレと労働市場の改善などにより、債券利回りの上昇につながりました。月初は1.5%を下回る水準でしたが、中旬以降は徐々に上昇し、月末には1.6%台まで上昇し、月内での上昇トレンドが見られました。
追加利上げ議論はあるものの、外部リスクを警戒した慎重姿勢が継続しています。
【米国金利】
~高水準安定のまま推移も、9月以降の利下げ期待高まる~
2025年8月、米国の10年国債利回りはおおむね4.2%から4.35%のレンジで推移しました。月中にかけて政治的な波乱(FRB理事解任騒動)の影響で利回りが一時上昇したものの、月末には落ち着きました。
8月時点での米国政策金利は4.25〜4.50%に据え置かれておりましたが、労働市場悪化やインフレ鎮静化を背景に、9月以降の25bpの利下げ期待が高まっています。
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出所:ブルームバーグのデータを基に第一生命保険株式会社が作成
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