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【第一生命マンスリーレポート】~2025年9月のマーケットの振り返り~(掲載日:2025/10/10)

金融市場レポートマーケット情報

掲載日:2025/10/10

 

金融政策決定会合と利上げ見送り

日銀は9 月18-19 日の金融政策決定会合で、追加利上げを見送ったものの、ETF、J-REIT の売却を準備が整い次第開始することを決定した。植田和男日銀総裁は、記者会見で、「日銀の分析では、リスクを取れないマーケットであったのが、だんだん正常化してきたので、そういう措置(ETF、J-REITの購入)を続けていく必要性が無くなったという判断である。」と述べた。この発言は大規模緩和からの出口戦略を示すものであり、金融政策の正常化に向けた段階的なステップとして市場参加者は受け止めた。一方、10 月1 日に発表された日銀短観(9 月調査)は下表の結果となった。

企業収益について、大企業製造業の営業利益は輸出価格の引き下げなど、関税の影響から減少しており、非製造業でも頭打ち傾向となっている。これらが示す企業収益の悪化は来年の春闘に影響するかもしれない。春闘の労働組合員の過半数は製造業の労働者が占めるため、製造業の収益悪化は春闘賃上げ率の下押しに繋がる可能性がある。日銀は11月17日に発表される7-9月期GDPや、12月15日に発表する日銀短観(12月調査)で企業収益を見極めようとするのではないかと考えられる。よって、市場参加者の多くは年内の追加利上げは見送られ、3月以降に追加利上げが実施されるのではないかとみている。

 

 

【国内株式】

~自動車関税の引き下げや米国利下げ期待等が下支えとなり史上最高値を更新~

9月の日経平均株価は、節目となる45,000円を突破
し連日最高値を更新するなど堅調に推移しました。月前半は、トランプ大統領が日本車の自動車関税引き下げに同意したことや、石破首相の辞任表明をうけ次期政権下での財政出動や政治改革期待から大幅上昇。その後は、米国の利下げ観測の高まりや円安進行が好感されました。
なお、日銀金融政策決定会合で想定より早い上場投資信託等の売却決定が嫌気され、大幅安となる場面もありました。

 

【米国株式】

~軟調な雇用統計と無難なCPIを受けて利下げ期待が下支えし、堅調に推移~

9月の米国株式は総じて堅調に推移しました。月前半は、8月雇用統計において労働市場の減速感が示唆されたことや関税の影響が想定内に留まった物価指標を受けた利下げ期待が好感されました。
月の半ば~後半にかけては、17日の9月米連邦公開市場委員会(FOMC)やその後の米連邦準備理事会(FRB)高官の発言における追加利下げへの慎重姿勢などを受けて上値が重い展開となりました。

 

 

【為替】

~一時149円台まで円安も、ドルも円も軟調に推移し、方向感を欠く~

9月のドル円相場は、引き続き147円台を中心としたレンジでの推移となりました。月前半は、軟調な雇用統計を受けた利下げ期待の高まりから、ドル円の上値は抑えられたものの、世界的な株高傾向が維持される中で、リスク選好的な円売り圧力との綱引きとなり、方向感を欠く動きとなりました。一方、FOMCでのパウエルFRB議長の利下げへの慎重姿勢から利下げ期待が後退し、月末にかけては強含む展開となり、米ドル円は一時149円台まで上昇しました。

 

 

【日本金利】

~日銀の年内利上げ期待で金利は小幅上昇~

9月の日本の10年国債利回りは小幅に上昇しました。
9月18-19日の日銀金融政策決定会合では、政策金利は据え置かれたものの、2名の審議委員が利上げを主張。年内追加利上げ期待の高まりから、10年国債利回りは一時2008年以来の1.7%台となりました。
なお、自民党総裁選を巡っては各候補者の主張に目立った財政拡張政策はみられず、財政悪化に対する警戒感は後退し、超長期金利(30年)は低下しました。

 

【米国金利】

~前月から低下も、FOMC後は金利に上昇圧力~

9月の米国の10年国債利回りは前月から低下しました。
8月雇用統計の軟調な結果を受けて利下げ期待が高まり、月中にかけて金利低下が進みました。
一方、9月FOMC後に金利が上昇する場面が見られ、パウエルFRB議長の発言や政策金利見通しで示された利下げペースが、市場の期待ほどハト派的(金融緩和に積極的)でなかった点が意識されました。

 

 

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出所:ブルームバーグのデータを基に第一生命保険株式会社が作成

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