(掲載日:2025/11/17)
お金が増えていく魔法のような仕組み、それが「複利」です。複利とは、元本に利息がつき、その利息にもさらに利息がついていく仕組みのこと。時間をかけてじっくり育てることで、お金が雪だるまのように大きく膨らんでいきます。銀行預金や投資信託など、身近な金融商品にもこの複利の考え方は活かされています。最初はゆっくりでも、続けるほど力を発揮するのが複利の特徴です。将来に向けて資産形成を考え始めた人にこそ、まず知っておきたい基本の考え方。この記事では、「複利とは何か」から「計算の仕組み」「活かし方」「注意点」までをやさしく解説します。今日の一歩が、10年後の安心につながる。その第一歩を、一緒に踏み出してみましょう。
目次
1.複利とは?単利との違いをやさしく理解しよう
2.複利の計算方法と「72の法則」を使った目安
3.複利効果を高める3つのポイント
4.複利運用の注意点
5.複利を味方にするための第一歩
6.まとめ:小さな積み重ねが大きな未来をつくる
複利とは?単利との違いを理解しよう
お金を増やす仕組みには「単利」と「複利」があります。どちらも利息でお金が増える点は同じですが、時間がたつほど差が大きくなるのが複利の特徴です。まずはそれぞれの考え方をシンプルに理解しておくことが、資産形成の第一歩になります。ここでは、単利と複利の違いをやさしく見ていきましょう。
単利とは?元本だけに利息がつく仕組み
単利とは、預けた元本に対してだけ利息がつく仕組みです。たとえば10万円を年利3%で1年間預けると、増えるのは3000円。2年目も同じ3000円の利息がつくだけで、利息に利息がつくことはありません。単利は仕組みが単純で、短期間の運用やリスクの少ない預金などに向いています。増える額が毎年一定なので、計算しやすいという利点もあります。ただし、長く預けても増え方が変わらないため、将来の資産を大きく育てるにはやや物足りません。時間をかけてお金を増やしたい人には「複利」のほうが効果的です。
複利とは?利息がさらに利息を生む「雪だるま効果」
複利とは、元本だけでなく、増えた利息にもさらに利息がつく仕組みです。たとえば10万円を年利3%で預けると、1年後は10万3000円、2年後はその10万3000円に対して利息がつくため10万6090円と、増え方が少しずつ加速していきます。この利息が利息を生む流れが、雪だるまのようにお金を大きく育てていくのです。時間をかけるほど効果が高まるのが複利の特徴で、若いうちから始めると将来の差が大きく開きます。
単利と複利の違いをシミュレーションで比較
単利と複利では、長期で見たときの増え方が大きく変わります。たとえば10万円を年利3%で20年間運用した場合、単利なら16万円、複利ならおよそ18万円になります。金額が大きくなったり期間が長くなったりすれば、その差はさらに広がります。これが「時間」と「再投資」が生み出す複利の力です。日々の変化は小さくても、積み重ねることで未来の資産は大きく変わります。だからこそ、資産形成を始めるなら「早く・長く・コツコツ」が大切なのです。複利の力を信じて、今日から一歩踏み出してみましょう。
複利の計算方法と「72の法則」を使った目安
複利の計算式は難しく見えるようですが、基本を押さえればとてもシンプルです。さらに「72の法則」を使えば、おおよそ何年でお金が倍になるかを簡単に計算できます。ここでは、複利計算の基本と、実際の数値をもとにした例を見てみましょう。
複利計算の基本式
複利の増え方は、次のような式で表せます。
「将来の金額=元本×(1+金利)ⁿ」。式だけ見ると難しく感じるかもしれませんが、考え方は増えた分にもさらに利息がつくというシンプルなもの。つまり、複利とは時間を味方にするお金の増え方です。数字が苦手な人も、まずはこの考え方を覚えておきましょう。
72の法則で「資産が倍になる年数」を知る
「72の法則」とは、複利の効果を簡単に計算するための便利な目安です。やり方はとても簡単で、「72 ÷ 金利(%)」でおよその年数がわかります。金利3%なら「72 ÷ 3=24」。つまり約24年でお金が2倍になるというわけです。数字の根拠を細かく計算しなくても、感覚的に複利の力をつかめるのがこの法則の魅力です。
複利効果を高める3つのポイント
複利とは、時間とともにお金が雪だるまのように増えていく仕組みです。ただし、同じ金利や元本でも、運用のしかた次第で増え方には大きな差が生まれます。せっかく複利を活かすなら、できるだけ効果を高めたいところ。ここでは、初心者でもすぐに実践できる「複利を味方につける3つのコツ」を紹介します。今日から少し意識を変えるだけで、将来の資産の伸び方がぐんと変わります。
① 早く始めて時間を味方につける
複利の力を最大限に活かす最大のポイントは、早く始めることです。複利とは、利息が利息を生む仕組みなので、運用期間が長いほど増え方が大きくなります。たとえば同じ年利3%で運用した場合、10年で約1.34倍、20年で約1.8倍、30年で約2.43倍に増えます。つまり、早く始めるほど時間が自分の味方になるのです。最初は少額でも構いません。時間を味方につけることが、将来の安心を育てる第一歩。早く始めて運用期間を長くとることが非常に重要です。
② 分配金を再投資して“雪だるま”を大きく
投資信託などで得られる分配金をそのまま受け取るのではなく、再び投資に回すことで、複利の効果はさらに大きくなります。複利とは増えた分にも利息がつく仕組みなので、分配金を再投資することで、元本が少しずつ大きくなり、増えるスピードが加速します。雪だるまを転がして大きくしていくように、再投資を繰り返すことが複利の肝。受け取って終わりではなく、再び育てるという意識が未来の資産を育てます。
③ コストを抑えて複利の力を最大化する
複利の効果を損なう大きな要因のひとつがコストです。手数料や信託報酬が高い商品を選ぶと、せっかくの利回りが目減りしてしまいます。複利とは、時間をかけてじっくり増やす仕組みなので、わずかなコストの差でも長期的には大きな影響を与えます。たとえば、信託報酬が1%違うだけで、20年後の資産額が数十万円変わることもあります。お金に余計な負担をかけないこと。それが賢く複利を働かせる秘訣です。
複利運用の注意点
複利は、お金を長く育てることで大きな成果を得られる仕組みです。しかし、その力を最大限に発揮するには、複利の特徴を正しく理解しておくことが欠かせません。複利は短期間で大きな成果をもたらすものではなく、効果が現れるまでには時間が必要です。また、運用がマイナスになる時期があったり、途中で資金を取り崩すと、複利のメリットが大きく損なわれてしまいます。こうしたポイントを押さえ、長期的な視点で運用を続けることが、複利を味方につけるための重要な鍵です。ここでは、運用を続けるうえで知っておきたい3つの注意点を紹介します。
短期では効果が見えにくい
複利の効果は、時間をかけてじっくりと現れるものです。始めてすぐのうちは「なかなか増えない」と感じることもあるでしょう。これは、複利とは利息が利息を生む仕組みのため、最初は増えるスピードがゆっくりだからです。しかし、長く続けるほどカーブが上向きになり、雪だるまのように大きく膨らんでいきます。焦らず続けることこそが、複利を味方にする最大のコツ。短期の結果に一喜一憂せず、未来を信じて運用を続けていきましょう。
マイナス運用時は損失も複利で拡大する
複利は利益を大きくする一方で、損失にも同じ仕組みが働きます。運用がマイナスになると、元本が減り、その後の増え方にも影響します。たとえば10%下がった資産を元に戻すには、単純に10%の回復では足りず、約11%の上昇が必要です。これは減った分にも複利が働くためです。だからこそ、リスクを分散し、焦らず長期で取り組むことが大切です。短期的な値動きに惑わされず、時間をかけて効果を発揮させるのが、複利運用の正しい向き合い方です。
途中で取り崩すと効果が半減する
複利の力は続けることで成り立ちます。途中で資金を引き出してしまうと、せっかく育ち始めた雪だるまを途中で崩してしまうようなものです。短期的な出費に使わないよう、生活費とは別に長期で育てるお金として分けておくのがおすすめです。未来の自分への贈り物だと思って、焦らず、手をつけずに続けること。それが複利の効果を最大限に生かす秘訣です。
複利を味方にするための第一歩
複利とは、長く続けるほど力を発揮するお金の成長エンジンです。ただし、知っているだけでは効果を実感できません。大切なのは、少しでも早く行動を起こすこと。毎月の積立や自動的に続けられる仕組みを整えれば、時間とともに複利の力が自然と働き始めます。ここでは、初心者でもすぐに取り組める複利を味方につける第一歩を紹介します。
長期で続ける仕組みをつくる
複利の力を十分に発揮させるには、長く続けられる仕組みを持つことが大切です。最初のやる気だけで続けるのは難しいもの。給与天引きや自動積立の設定をしておけば、無理なく習慣化できます。途中でやめずに継続することが大きな成果につながります。感情やタイミングに左右されない自動化が、最も確実な味方になります。毎月の積立が生活の一部になれば、気づかないうちに資産が育ち、将来のゆとりが生まれます。無理をせず、長く続けられる方法を見つけることが、複利を味方につける一番の近道です。
まとめ:小さな積み重ねが大きな未来をつくる
複利とは、お金を時間の力で育てる仕組みです。すぐに大きな成果が出るわけではありませんが、コツコツと積み重ねることで、やがて雪だるまのように資産が膨らんでいきます。その理由は、利息が元本に加わり、さらなる利息を生むからです。つまり、今日の行動が未来の成長を呼び込むのです。毎月の積立や再投資など、小さな一歩を長く続けることが複利の力を最大化します。複利とは、焦らずに未来を信じて続ける勇気そのもの。今のあなたの選択が、10年後、20年後の安心につながります。今日の一歩が、未来のあなたをきっと笑顔にしてくれるでしょう。
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