「教えて!経済キーワード」シリーズ 第3回:国際収支統計って何?(掲載日:2026/10/9)
掲載日:2026/10/9
10月8日、財務省と日本銀行から最新の「国際収支統計」が公表されました。
ニュースでは、
「経常収支は4兆620億円の黒字」「貿易収支は6,877億円の赤字」「第一次所得収支が拡大」等と報道されていますが、「そもそも国際収支って何?」と思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、日本と海外とのお金のやり取りを表す「国際収支統計」について、わかりやすく解説します。
国際収支統計は「日本と世界の家計簿」
国際収支統計とは、日本と海外との間で行われたお金の受け取りと支払いを記録した統計です。
私たちが家計簿で収入や支出を管理するように、国際収支統計は日本全体のお金の流れを記録しています。
この統計を見ることで、
・日本は海外からどれだけ収入を得ているのか
・海外へどれだけ支払っているのか
・日本のお金がどのように世界と行き来しているのか
を把握することができます。
ニュースでよく聞く「経常収支」とは?
国際収支統計の中で、全体のお金の流れを示しているのが「経常収支」です。
経常収支は、日本が海外とのモノやサービスの取引、海外への投資によってどれだけ稼いだかを示す指標です。
例えば、
・自動車や機械などを輸出する
・海外投資から配当金や利息を受け取る
・訪日外国人が日本でお金を使う
といった取引は日本への収入になります。
一方で、
・原油や天然ガス、食料を輸入する
・海外旅行でお金を使う
・海外のデジタルサービスを利用する
といった取引は支出になります。
収入が支出を上回れば「経常収支黒字」、下回れば「経常収支赤字」です。
なぜ貿易赤字でも黒字になるの?
今回の統計では、貿易収支が6,877億円の赤字となりました。輸出は増加したものの、輸入額の増加がそれを上回ったためです。
それにもかかわらず、経常収支は大幅な黒字でした。
その理由は、「第一次所得収支」が5兆1,332億円の黒字となり、貿易赤字を大きく補ったからです。
第一次所得収支とは、海外への投資から得られる収益のことです。
具体的には、
・海外企業からの配当金
・海外債券の利息
・海外子会社の利益
などが含まれます。
例えるなら、
「毎月の給料に加えて、資産運用からも安定的な収入を得ている状態」です。
現在の日本は、モノの輸出だけでなく、長年積み上げてきた海外投資からの収益によっても大きく稼いでいます。そのため、貿易赤字になっても経常収支全体では黒字を維持できるのです。
私たちの生活とどう関係する?
経常収支の黒字は、日本に海外からお金が流れ込んでいることを意味します。そのため、円の価値を支える要因の一つと考えられています。
逆に、海外からの収入が減って経常黒字が縮小すると、円が弱くなり、円安につながる可能性があります。
円安・円高などの為替は日々さまざまな要因で動くため、この統計結果だけで大きく変動するわけではありません。ただ、長い目で見れば、経常収支つまり日本と海外とのお金の流れは、円相場の方向性を考えるうえで重要なポイントの一つとなります。
まとめ
国際収支統計は難しく聞こえますが、「日本全体の家計簿」と考えると理解しやすくなります。ニュースで経常収支が話題になったときは、「日本はどこから収入を得ているのか」という視点で見てみると、経済や資産形成への理解がさらに深まるのではないでしょうか。
編集者:第一生命 資産形成プラス担当者
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