掲載日:2026/7/6
「このプリントの枚数を数えてね」と言われたとき、私たちは、その中身を疑うことなく数え始めます。
そこにあるものは、すべて「数えてよいもの」だと思っているからです。
しかし、お金を数える現場は、そうではありません。
銀行や企業で現金を扱うとき、最初に行われるのは “数えること” ではなく、
“数えてはいけないものを先に落とすこと” です。
この役割を担っているのが、硬貨選別機(こうかせんべつき)や紙幣計数機(しへいけいすうき)、紙幣識別機(しへいしきべつき)です。
硬貨選別機は、硬貨の大きさ・厚み・重さ・金属の材質・穴の有無などを使って、1円、5円、10円などと種類を判別します。
基準に合わないものは、この時点で弾かれます。
ここではまだ、金額は数えられていません。
紙幣も同じです。
紙幣計数機は、紙幣を1枚ずつ送りながら、
・重なっていないか
・大きな破れや汚れがないか
・本物の紙幣かどうか
を確認します。
条件に合わないものは途中で止められ、通過した紙幣だけが、初めて「枚数」になります。
なお、計数機で「弾かれる」紙幣が、すべて使えなくなるわけではありません。
たとえば、重なって送られただけの紙幣は、状態を整えたうえで再び計数に戻されます。
一方で、破損や汚損が著しく、識別が難しいものは別の処理に回されます。
つまり、機械が見ているのは紙幣の「良し悪し」ではなく、
いまこの状態で正しく数えられるかどうかという点です。
つまり、現場の順番はこうです。
確認する→除く→数える→金額を出す
私たちが見ている「金額」は、いくつものチェックを通過したあとの、最終結果にすぎません。
こうして数えられた現金は、現金センターに集められます。
そこでも再び、仕分けと確認が行われ、
流通に戻せる状態に整えられます。
お金は、
何度もふるいにかけられ、残ったものだけが数えられる
という工程を繰り返しながら、社会を巡っています。
数えられる資格があるかどうか。
それが、まず問われます。
私たちが普段目にしている金額は、その問いをすべて通過したあとの数字なのです。
次回も、身近にひそむお金のヒミツをお届けします。お楽しみに!
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