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【対談コラム】第一生命保険株式会社✕アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 「警察職員向けセミナー」を通じて感じた金融経済教育の大切さ

金融リテラシー

第一生命保険株式会社✕アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 「警察職員向けセミナー」を通じて感じた金融経済教育の大切さ

今般、アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所は、第一生命保険株式会社とのコラボレーションにより、警察職員の皆さまを対象にした資産形成セミナーを開催しました。

実施して感じた金融教育の難しさ、大切さなどについて、セミナーの実施に携わった3人が対談しました。

 

【対談参加者】                    

額賀 ゆき子 氏 (第一生命保険株式会社 公法人部 顧問)

深田 修 氏 (第一生命保険株式会社 公法人部 法人渉外担当部長)

伊藤 雅子 氏(アセットマネジメントOne株式会社 執行役員/未来をはぐくむ研究所長)

 

公務員は約332万人という巨大な職域

 

(伊藤)本日はありがとうございます。恐らく、多くの方は「公法人部」という部署名自体に馴染みがないと思いますので、具体的な業務や職域営業についての状況などをお聞かせいただけますか。

 

(深田)第一生命は生命保険事業を営む会社ですが、営業分野においては、個人向け事業分野の「リテール部門」と法人向け事業分野の「ホールセール部門」があります。公法人部はホールセール部門の中で、公務員マーケットを担当する組織です。

現在、公務員職に就かれている方は約332万人程度、いらっしゃいます。公法人部は、こうした公務員の皆さまを対象に、団体保険を中心に福利厚生のお手伝いや、さまざまな課題解決のご提案をさせていただく窓口になっています。

また、団体保険以外にも、職域活動として、支社の生涯設計デザイナーが公務員の皆さまのライフステージに合った個人保険のご提案などもさせていただいておりますが、公法人部としては営業支援や接点づくりをサポートしています。

 

(伊藤)特に公務員の方々を対象とした資産形成セミナーを行うに際して、最初の接点づくりが難しいとお聞きします。警視庁OBの額賀顧問だからこそ、わかる感覚がおありだったのではないでしょうか?

 

(額賀)はい。主催が第一生命ということですと、どうしても最後の最後に保険の営業があるのではないか?と思われてしまいがちでした。しかしそれではなかなか資産形成セミナー自体が広がりません。そこで、今回の警察職員を対象にした資産形成セミナーの場では、「生命保険の話は一切しません」ということにしたのです。第一生命としてセミナーを開催するのですが、「職員の皆さまに金融リテラシーを身に付けていただくのが目的です。」ということを前面に出し実現にこぎつけました。

 

(深田)やはり中立性が大事ですし、それを打ち出すにはどうすれば良いかと考えていた時に、アセットマネジメントOne様で「未来をはぐくむ研究所」が立ち上がったという話を聞き、今回のコラボレーションにつながったというわけです。

 

【深田 修 氏】

 

(伊藤)私たちは投資信託という金融商品をつくり、運用している会社ですが、国が資産運用立国を目指し、金融経済教育に力を入れていこうとしているなかで、これまで以上に中立で客観的な情報を発信し、投資家のすそ野を広げる活動を行い、投資の力をもっと身近に感じていただきたいという想いから「未来をはぐくむ研究所」を立ち上げました。

今年に入り、新NISAがスタートし、個人の投資行動に大きな変化が起こっています。国も職域における金融経済教育の推進に力を入れるという動きを見せていますが、公務員、こと警察職員の資産運用に対する関心度合いは、いかがですか?

 

「投資」や「資産形成」から遠いところにいる警察職員

 

(額賀)警察職員にとって、「投資」や「資産形成」は非常に遠いところにある、というのが現実です。とにかく警察職員にとって大事なのは、国家と国民のための職務遂行であり、懸命に仕事をしていれば、お給料や手当は後から付いてくるという考え方がカルチャーとして根強く存在しています。

職務遂行に全身全霊を傾けますから、新NISAなどの資産形成についても「面倒だから結構です」となりがちですし、投資に対するネガティブなイメージもかなり強い職場です。投機やギャンブルと、ごっちゃになっているところがありますし、何よりも仕事で「投資詐欺」の摘発をしていますから、「投資セミナー」などと言おうものなら、その場で「NO!」を突き付けられてしまう可能性さえあります。

ただ、そのようなカルチャーを持つ警察職員でも、今回ご一緒して何度か「資産形成セミナー」を行っているときに、関心が高まってきているなと感じました。実際、インターネット証券で口座を開いている人やiDeCo、NISAを少し前から始めている人もいました。

 

金融経済教育でしっかり伝えていきたいこと

 

(伊藤)額賀顧問は警視庁で警務部参事官(給与課長)を務められ、警察職員の人事制度、福利厚生などに携わられたご経験をお持ちですが、民間企業の顧問になられて、改めて感じたことはありますか?

 

(額賀)資産形成についていえば、警察職員専用の財形預金や積立年金等が福利厚生として提供されているのが現状です。要するに、自分で資産運用を考えなくても済む仕組みができているのです。

私は民間企業の一員になった時、確かに公務員の福利厚生制度はしっかりしていて、職員にとって非常に良いものだという認識を持ちました。一方で、退官後のライフプランをどうするのか、あるいは現役時代に貯めたお金を、将来にわたってどう利活用し、かつ運用すればいいのかといったことを、全く知らないままでいるのはまずいのではないかと思いました。

 

【額賀 ゆき子 氏】

 

(伊藤)今回のセミナー実施にあたって、事前に、かなり入念に打ち合わせを行わせて頂きましたが、そうした打ち合わせのなかで何か気づいたことはありましたか?

 

(額賀)まず、未来をはぐくむ研究所で作成いただいたスライドを見て、年率2%でインフレ(物価上昇)が継続すると1,000万円が30年後には約545万円の価値になってしまう。だからこそ資産の価値を減らさないよう、それ以上の金利で運用していかなければならないということや、ギャンブルは宝くじなどに代表されるマイナスサム、投機はFXや仮想通貨に代表されるゼロサム、そして株式等の投資はプラスサムなんだという明確な違いなどが理解でき、「なるほど!」と納得させられることばかりでした。

 

【セミナーに使用した資料(抜粋)】

 

(伊藤)ありがとうございます。実は事前打ち合わせの時、額賀顧問が「今回は資産形成をしたいと思っている人たちに対する金融リテラシー教育をするのではなく、資産形成をしようと思っていなかった人たちに対する一からの構築なのです。」と強調されていて、私たちもハッとさせられました。

ともすれば、金融の世界における常識、よくあるパターン、よくある順序で説明をしてしまいがちなのですが、今回は一度それを壊してゼロから考えたからこそ、このような形でお話をさせていただくことができました。

 

(額賀)私は警察学校で「貯金と勉強と親孝行さえしていれば人生間違いない」と教官から教わりました。自己責任において損をするかもしれない投資など考えなくても、公務員である警察職員は健全で豊かな経済生活を送れると考えている人が大半なのです。ここをどう乗り越えて資産運用に関心を持ってもらえるのかというのは、ある種のチャレンジでもありました。

 

中立性と客観性を重視し、それぞれの「価値観」に寄り添う

 

(伊藤)今回の取り組みを通じて、聞く側からすれば「何かやましいことがあるから自己責任と言っているのではないか?」という感覚にもなりうることを、改めて胸に刻みました。最終的には「投資は自己責任」であることを理解してもらう必要はあります。しかし、そういう特殊な状況に置かれている方々だからこそ、まずは聞く耳を持ってもらい、心を開いてもらうために、職業や育ってきたカルチャーを理解し、いかに寄り添うことができるかが重要ですよね。

 

【伊藤 雅子 氏】

 

(額賀)まさにそのとおりです。その点でも、リスクとリターンはコインの裏表、リターンが凄くてリスクがないというのは詐欺なんだという考え方をお伝えいただいのは大きかったと思います。また、先ほどのグラフにあったインフレでお金が目減りするといっても具体的に実感しにくい中で、「昔は1,000万円で買えた家が、このままインフレが進むとも窓とトイレのない家しか買えなくなっちゃうかも。」といった分かりやすい説明は、生活に身近な話であるだけに、警察職員にも響いたと思います。

 

(深田)勤務時間前後の開催の為、セミナーは30分以内という限られた時間での開催が多いので、今回のセミナーにおいては、汎用的な内容からカスタマイズし、警察職員特有な部分などのエッセンスを凝縮し、お伝えできた点が好評をいただけた理由かと思います。

 

(伊藤)加えて、セミナーの冒頭で額賀顧問が職員の皆さまに伝えたメッセージが熱かったですね。投資を通じて自分の資産を増やすだけでなく、投資したお金が企業にまわり、成長の後押しをする。あるいは投資先企業のビジネスを通じて、社会課題を解決する。それが巡り巡って、人々の生活をより良くしていくという好循環が大切だと強調されていました。

 

(額賀)警察職員は世の中の事件事故には関心があっても、経済的な事柄に関する関心は薄くなりがちです。日本や世界の経済情勢がどうなっているのか、政府がどうして投資を勧めるのかを知ることが何よりも大事だという気持ちでした。

 

(伊藤)まさに今、国が取り組んでいる資産運用立国、成長と分配の好循環の話でしたね。この循環がうまく回るようになると、企業側も投資されるような改革を進めます。ただそれは今日明日にできることではなく、ある程度の時間が必要です。「だからこそ長期投資なのだ」ということがちゃんと腑に落ちるかどうか。単純に長期・積立・分散を連呼するだけではなく、本来伝えなくてはならないことだと思います。

 

(額賀)まさに長期でほったらかし投資ですね。警察職員も実生活の中でハラハラドキドキすることなく資産形成ができるということを、もっと伝えていきたいですね。

 

(伊藤)時代の流れと共に、生命保険会社が担う役割も徐々に変わっていくと思いますが、今後、どのような方向を目指していくのでしょうか?

 

(深田)第一生命は創業以来、生命保険を通じて安心をお届けしてきました。

人生100年時代を迎え、また、一人ひとりの価値観が多様化するなか、これまでは保障を提供するということを中心とした営業スタイルでしたが、これからは保障だけでなく、「健康・医療」、「資産形成・承継」、人と地域や社会との「つながり・絆」の体験価値を通して、お客様のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に貢献していこうと取り組んでいます。

保障だけでなく、金融商品を総合的にコンサルティングしていける会社を目指して、教育を充実させています。

 

(額賀)中立性と客観性を重視して、警察職員との信頼関係を築き、今後も、金融リテラシーや資産形成に関するセミナーをどんどん開催していきたいと思います。警察職員以外の公務員の皆さまにも広がっていくといいですね。

 

(伊藤)ありがとうございました。

「アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所」のHPはこちら

https://www.am-one.co.jp/hagukumu/

 

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