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資産形成

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【対談インタビュー】第一生命×BNPパリバ・アセットマネジメント 藤原延介氏  投信業界と資産形成の“今”を聞く!<後編>

【対談インタビュー】第一生命×BNPパリバ・アセットマネジメント 藤原延介氏  投信業界と資産形成の“今”を聞く!<後編>

第一生命では“一生涯のパートナー”として従来の保障に加えて資産形成の面からもお客さまの「wellーbeing」に貢献することを目指しています。「資産形成プラス」では、資産形成に関連するサービスに係る業界の識者、キーマン的な存在の方々と対談を行い、コラムとしてお届けします。

第7回はBNPパリバ・アセットマネジメントの投信営業本部マーケティンググループ部長であり、日本の投資信託業界の黎明期から約25年にわたり業界動向のリサーチ、投資啓蒙に従事され、メディアでも様々な情報を発信されている、アセットマネジメント業界のプロフェッショナルである藤原延介様に、最新の投信業界や資産形成の動向についてお話を伺いました。(今回は前後編の後編)

 

藤原延介様(BNPパリバ・アセットマネジメント株式会社 投信営業本部マーケティンググループ部長 :写真左)

聞き手:

泉谷正彰(第一生命ホールディングス株式会社 資産形成・承継事業ユニット長:同中央)

若松康平(第一生命保険株式会社 資産形成・承継事業部長:同右)

 

目次:

・保険会社が資産形成に取り組むことの意義

・保険と資産形成の両輪で一生涯のパートナーへ

・投資信託の持続可能性を後押しする存在へ

 

保険会社が資産形成に取り組むことの意義

若松:当社では、『資産形成プラス』というウェブサイトを通じて、お客さまの一生涯のお金の悩みや、資産形成に役立つヒントとなる情報の発信を行っているのですが、お客さま自身がオンラインで一生涯のキャッシュフローや金融資産の過不足を見える化できる「しさんのしさん」というツールに家計簿アプリ機能を結び付けた家計管理サービスである「かけいのしさん」を24年3月にリリースしました。

これは資産形成で毎月の積立を続けていくために無駄な支出を見直すきっかけづくりをサポートする発想で追加した機能です。保険会社が、万一の場合のまとまった資金を生命保険の保障機能でカバーするとともに、老後資金や人生の目標に必要となる資金を計画的に準備する資産形成は密接不可分であり、保障と資産形成を一体で考えてもらえるようなアドバイスやサービスの提供こそが、付加価値となると考えて、サービスの充実に努めています。

お客さまには新しく提供したこのツールも有効に使っていただき、お客さまに家計の適切な資金配分を考えるヒントにしていただきたいなと考えています。

 

藤原:目指す姿として、とても素晴らしいですね。おっしゃる通りで、家計全体で見てどこを余裕資金と捉えて資産形成や保険に回すのかはとても重要な視点だと思います。

 

若松:ありがとうございます。例えば、独身時や夫婦二人の時には、貯蓄性保険やNISA、iDeCoなどの資産形成を優先し、逆に子どもが産まれて保障の重要度が増したタイミングで毎月の積立額を減らし保障を手厚くするなど、お客さまライフステージ毎のニーズを捉えたアドバイスを提供できる体制構築を目指しています。

これからの部分もありますが、藤原さんからみて今後の第一生命グループに期待することや担ってほしい役割などはありますか。

 

藤原:いまは相場がとてもいいので、多少無理をしてでも積立額を増やしていくべしという風潮があると思います。

しかし、どちらかというと逆で、“相場がいいときこそ無理に金額を増やさない・変えないこと”が大事だと思っています。自身のライフステージが変わった時に支出を見直す必要がでてきますし、その中で「保険が必要だ」「資産形成が必要だ」となった時に、NISA・iDeCoを含めた幅広いサービスをご案内できることは家計にとって頼もしい存在になると思います。

特に老後の資産寿命まで見据えると、投信だけ、株だけ、保険だけではカバーしきれない所がでてくると思うので、組み合わせてサポートできるサービスやアドバイザーは魅力的ですし、ぜひ実現してほしいと期待しています。

 

保険と資産形成の両輪で一生涯のパートナーへ

泉谷:当社は、資産形成商品の相談にも乗れる資産形成・承継・相続アドバイザーの育成に取り組んでいます。その背景には、これだけ資産形成のニーズが高まり、さまざまな資産形成手段がひろがってくると、生命保険だけでは一生涯のアドバイスはしきれないのではないかという想いがあります。

これまでも様々な金融機関が保険と投信を扱っていますが、両方の特徴をうまく使いこなしたコンサルティングは難しいという声を聞きます。難易度は高い取り組みではありますが、粘り強く教育をしていき一生涯のパートナーにふさわしいアドバイザーを育成したいと思っています。

 

藤原:証券会社が保険を扱うことと、保険会社が証券系の商品を扱うことは提案の出発点が異なるのだと思います。長期と短期の視点がありますが、保険はどちらかというと長期視点での提案がスタートになると思うので、そういった特徴を活かしつつ、資産形成も短期ではない考え方で提案できることが利点なのではないかと思います。

 

若松:まさに我々は生涯設計という形で、老後に公的年金で不足するお金から逆算したゴールベースでのアプローチがメインの考え方ですから、短期の値動きに捉われない提案の仕方を徹底できると思っています。

ただ提案スキルはまだまだ努力しなくてはいけない所です。藤原さんにアドバイスいただいたところを取り入れて進めていきたいと思いました。

 

藤原:各金融商品での税金面の優遇部分や金額など異なるものがあり、もちろん税金面だけで置き場所が決まるわけではないですが、「この金額まではこちらの制度の方が有利」だとか、そういったところは、多くの商品を網羅しないとアドバイスできませんよね。

私自身も保険をどう持てばよいか詳しくないですが、そこの専門性を持っていれば、保険会社としての定期的な接点を持つ中で、資産形成の情報提供も兼ねて、深い関係が形成できると思います。

ここ数年は相場の追い風で推移してきたので多くの方があまり考えないまま株式中心のポートフォリオになっているように思います。株価の下落や円高への転換など相場の変調や大きな金融ショックも見据え、柔軟なアセットアロケーションを提案していただくことが良いのではと思います。

 

若松:やはり相場が変化したときに、続けるにもやめるにも判断に勇気がいりますが、適切なアドバイスを得られる環境があることは改めて大きいですよね。

 

藤原:下落時は誰もが混乱するものですので、ある程度フィーを払ってでもアドバイスを受けられる環境を準備しておくことは重要だと思います。私も仕事柄よく親戚や友人に資産形成の仕方を聞かれますが、無責任にお話することは難しいと感じます。

仮に、今はこの方法がいいと思っていたとしても、その方と次いつ会うかも分からないなかで、そのアドバイスをずっと参考にされても相場は日々変わっていってしまいます。

だからこそ個人の方にとっては、信頼できるアドバイザーを見つけるだけでなく、定期的に相談機会を設けられる環境を準備しておくことが肝要でしょう。対面アドバイス機能をお持ちの金融機関の皆さまにとっても腕の見せどころではないでしょうか。

 

投資信託の持続可能性を後押しする存在へ

藤原:今は分かりやすい商品ほど低価格になっており、資産形成をスタートする商品として、分かりやすい商品であることは意味があると思います。

一方、分かりやすさや低価格を追求すると、商品の持続性として疑問符のつくケースもあります。投資信託は商品設計を柔軟にしておけば市場環境が変わっても商品寿命を長くできますが、そういった商品は一般的に分かりにくく、低コスト化も難しい面があります。

“低価格で分かりやすいものが絶対にいいんだ”という考えは必ずしも是ではないので、分かりにくい商品(持続可能性の高い商品)でもしっかりとアドバイザーが説明することで、納得して選べることにつながる、そういった面でもアドバイザーの意義は大きいでしょうね。

 

泉谷:まずはわかりやすい1つの指標で連動するようなシンプルなものから始めたとしても、ご自身のライフプランやリスク許容度に照らして無理のない、長期の相場に順応できる商品などを組み込むことで安心して資産形成することができるということですね。目指すゴールに対して積み上がる確度も上がるんですね。

 

藤原:特に運用資産規模が大きくなってきた時、柔軟性を持っていないことはそのまま怖さに変わってしまうこともあります。低コストや分かりやすさだけを追求した商品選びから入るとしても、金融市場は常に変容していくものなので、例えば指数を追う商品だったとしても、その指数の弱点はないのかというところまで考えなければなりません。

 

若松:低コスト商品を自身で選びながら資産形成をすることはできたとしても、相場の動きを予見して変えていくことは事実上難しいと思います。多少運用コストが高い資産形成手段だとしても、ファンドマネージャーの目利き力に信頼があるとか、相場下落にも強く安心して保有しやすいなど、納得感を持てる提案をしてくれるのであれば、結果的にはお客さまにとって幸せな状況になる可能性も十分にあるということですね。

最終的に決めるのはお客さま自身ですが、そこにいかに判断材料を提供できるかというところがアドバイザーに求められるのですね。

 

泉谷:そのほかに、当社グループに期待されることはありますでしょうか。

 

藤原:今後もDC制度の見直しによりDC制度の投資枠が拡大されてくると思いますが、将来不足する資金をiDeCoで補うという選択肢も出てくるはずです。

お客様自身では気づくのが難しい、新しい投資制度への情報提供など金融機関のアドバイザーでなければ難しいアプローチもあると思います。全国の皆さまがより効率的な資産形成をできるように、ぜひ後押しをしてほしいと思います。

 

泉谷:確かにNISAはすごい勢いで普及していますが、iDeCoはまだ使いこなしている人が多くないかもしれません。税制メリットの高さなど、しっかりと制度自体の良さを伝えるという役割を担えると思っています。

 

藤原:CMやメディア・ニュース等で第一生命グループが資産形成サービスを始めたことが伝わり始めていますし、こんなにいい制度なのに、そもそも知らない人や詳細が分からない人はまだまだいると思いますので、ぜひ魅力を伝えてあげてください。

 

今回の対談では、藤原様の長年のご経験から裏打ちされた、資産形成や投信業界に関する潮流の変化、アドバイザーの重要性や投資信託の持続可能性などについてお話を伺いました。日本における今後の更なる資産形成の発展に向けて互いに想いを共有しあう、実りのある対談となりました。

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