第7回 「『メンタルアカウンティング(心の財布)』という言葉をご存じですか?」
サラ川から資産形成・投資を学ぶ】
お金に対する人間の非合理的な行動を研究する「行動経済学」の中に「メンタルアカウンティング(心の財布)」の考え方があります。
メンタルアカウンティングは、ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラ―博士が提唱した理論で、人間はお金を心の中で区分された財布(食費、住居費、娯楽費、貯金・・・)に入れ、その財布の範囲内で予算を立て、また損得を判断するというものです。例えば、同じ100万円のお金であっても、毎月コツコツ貯めた100万円(貯蓄)と、宝くじが当たった100万円(予定外収入)では心の中の財布が違うので使い方が異なるはずです。この句の場合、同じ5円でも、商品の価格であれば5円の差で高いと感じなくても、レジ袋の5円は高いと感じたということです。また、財布と予算を明確にするとその範囲内で使う努力もします。
この理論で考えると、給与をもらったら最初に貯蓄という財布にお金を入れる(明確に区分して予算化する)とそれを消費など他の目的に使うのは抵抗があるので、お金が「貯まる」ことになります。昔から給与天引き貯蓄はお金を貯める王道ですが、この理論が裏付けになります。給与は自由に使って、残ったお金を貯金するのが理想ですが、残念ながらお金は貯まりません。給与からの先取り貯蓄に慣れ、「給与-貯蓄=使えるお金」が生活スタイルになればお金は貯まります。
~コラム執筆者の紹介~
村井 幸博
第一生命経済研究所 研究理事
第一生命グループで内外債券、株式、デリバティブなど投資業務を長期にわたり担当、商品開発業務などにも携わる。
現在は第一生命経済研究所で金融リテラシー、資産形成・投資、金融ウェルビーイングなどのセミナー・研修を担当。
※「サラリーマン川柳」は2022年に「サラっと一句!わたしの川柳」に改名いたしました。
※作品の著作権はすべて第一生命に帰属しています。無断での転載、使用はご遠慮ください。
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